カテゴリー「気楽に描くためのヒント」の9件の記事

まず一本の線をひく

多くのスケッチは「線」でできています。世界中のたくさんの人が、楽しいからという理由で線を描いている。一本の線をひかないとスケッチは始まらない、かどうかわかりませんが、世界中のたくさんの人たちが、まず一本の線を気持ちよく引くことで、スケッチを開始しているはずです。
 手近な筆記具で、線を描いてみてください。できるだけ長く、ゆっくりと。仕事や日常生活で描く線とは違う、貴方だけの線をみつけてください。スケッチの楽しさ100倍(当社比)です。

ウマくないとだめとか、ヘタがいいとか、そういうことではなく、線を描くのが楽しい、色を塗るのが楽しい、というのがまず基本にあるはずで、難しい技術的な事は後回し、または無視して、楽しいスケッチを描くことはできないのでしょうか。出来るような気がするのです。

そのへんにある紙にペンで、線を描いてみてください。楽しいスケッチ=タノシイスケッチをはじめましょう。

20070412 メモ用紙にサインペン
74mm×104mm


Qa_1

:こういうのは普通スケッチではなく「らくがき」といいませんか?

:どっちでもいいんじゃないでしょうか。この線は気持ちよく描けましたし。

:楽にスケッチが上達する方法はありますか?

毎日欠かさず朝晩納豆を食べるといいという噂もありますが、まず「上達」することばかり考えないで、楽しむことを優先してみませんか。

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成り行きにまかせる

タノシイスケッチの方法としてまず挙げておきたいのは、
紙の上で起こっていることを尊重する」ということです。
貴方が描いたもの、それが貴方の絵なのであって、お手本通りではないとか、目の前の風景やモノと似ていないとか、色が違うとか、そのような否定的な目で自分が描きつつある絵を見ないようにしてみようということです。

誰も貴方の描いた風景や人物と本物を並べて確かめようなんて思わないし、そもそも本物と見比べてその絵の面白さ・楽しさが変わるというわけがないのです。本物そっくりとか、本物の雰囲気が伝わるというのは、悪いことではありませんが、それが貴方が絵を描く目的なのかというと、ちょっと違いませんか?本物のように描けた、という達成感はあるかもしれません。しかし、その達成感は本当に絵を描く楽しみなのだろうか、とちょっと思ったりしたものですから。
 あなたが描いた線や色が面白ければそれでいいはずなのです。画面=紙の上で起こっていることがすべてです。そこには何にもとらわれず、線を描くヨロコビや、色を塗る楽しさが込められているはずだからです。

Qa_6

:理屈ではそうかもしれません。しかし実際に「こりゃだめだ」という絵が出来つつあるとき、それを受け入れるのはきついと思いますが。

:そういう時はその絵のことは忘れて新しく描き直しましょう。

:それでは「失敗から学ぶ」ことができないのではないですか。

:たしかに自分で「こりゃだめだ」(または「だめだこりゃ」)と感じている絵を修正しながら描きすすめても楽しくないと思います。しかし、自分で想定していた絵とは違っても、結果として面白いということはありますよね。

:毎回成り行きにまかせて描いて、結果がどうなるかわからないのでは効率が悪すぎませんか?

:ん?あなたは趣味のスケッチに効率を求めるのですか?

:だってそうでしょう。失敗しない方法があれば、それを実行し品質を向上させればいいではないですか。

:失敗しない方法はあります。「自分で描かない」

:なんですかそれは。

:チームを作って、構図のうまい人、線が美しい人、色彩感覚がスバラシイ人などが分業制で効率的にスケッチを仕上げていく。あなたはその完成品を入手する。

:でもそれでは、私のスケッチとは言えません。

:そうです。あなたの目的は完成度の高いスケッチを入手することではなく、スケッチを描くことなのですから。ではこういうのは?スケッチの名人に下書きをしてもらって、あなたはそれをなぞる。色も作ってもらい、塗るところを指定してもらう。あなたは筆を動かす。

:なんか、違います。

:そう。だから成り行きでもいいのです。貴方が描くしかないのです。あなたが、自分で描きたいと思っているのなら。

:なんだか、ごまかされたような気がしています。

:では、これではどうですか?スケッチの先生に構図から彩色まですべて教えて貰い、あなたはその通りに描く。

:う〜ん。なんだかわからなくなってきました。

では、よくわからないように進めていきましょう。

:あらら....。

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描く対象の構造を無視する(月面画法)

気分を楽に描くことを最優先するために、ひとつの提案をしたいと思います。それは、スケッチをするときに「世の中はすべて平らだ。モノには奥行きも裏側もないのだ。ということにしておこう」と考えてみるというものです。
 立体物を二次元の紙の上に再現するということを一切考えずに、見えたものを平らなものの形として紙の上に描き写していくのです。

 夜空を見上げて三日月をスケッチするとしましょう。誰でも弓形の例のものを描くと思います。三日月はこれまた皆さんご存じのようにボール形の立体です。そこに地球の影ができて弓形に見えている。しかしそんな事を知らなくてもあれを描くことは可能です。明るい板が宙に浮いているのだとしても描いたものは同じようなものになるはずです。

 であれば、林檎を平らな板と信じて描いていけないわけがない。
 月を見て月の輪郭線を描くように、林檎を見てその輪郭線を描けばよいわけです。あらゆるものについて、この「世界は平らだ」を信じて描くことができれば、かなり気が楽になるはずです。貴方が描くスケッチは平らな紙の上にあるのですから、早い段階で平面にしてしまったほうがいいのです。いいのだろうと思います。たぶん。

Toto1 「月面画法」によるスケッチ例。
最初は見慣れた形(この例では便座を上から見た形)を中心にした絵にすると描きやすいと思います。「こう見えるハズ」という先入観と、実際に見えている形が近いので安心できます。
 見えているモノの形をできるだけそのまま、それがどんな機能をもったものであるかとか、実際の長さとか奥行きとか、「この角度だとこう見えるはず」などを考えないようにして、見えたままを描きすすめてください。あ、形がヘンだと気づいてもそのまま描ききってしまいましょう。

Toto3_1 下描きは無しで

下描きをしておいてペンでなぞる方法は、あらかじめ完成した状態を想定して描き始めることになります。「設計→制作」という2段階になるといってもよいでしょう。これは想定外の絵もそのまま受け入れて楽しもうというお気楽スケッチの趣旨から離れていきますので、下描きという単語は辞書から削除しておいてください。立体の中心線や角度を判断するための補助線もやめて、ペンでいきなり描いてみてください。難しいことを考えずに1本の線を引きはじめる楽しさを味わっていただきたいと思います。


Qa_2

:スケッチというと雄大な自然の風景とかおしゃれな街角とか、そういうのを想像していました。いきなり便器ですか。

:身近なモノからやってみようということで。便器でも何でも、描いてしまえば同じ一枚の絵です。昔からスケッチは便器にはじまり便器に終わるといいまして…

:嘘でしょう。

:はい…。

:モノを平面として見るコツはありますか?

:ぼーっとしてですね。何も考えないで、ぼーっと見ていると、そのモノ自体の意味とか奥行きとか、そういうのはどうでもよくなりませんか?ぼーっと見ていると平面的に見えてきたりします。

:なるほどそうだったのか。

:何がですか?

:あなたはいつもぼーっとしていることが多い。

:はい…。

 

 

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よ〜く見て、全部描かない

スケッチを描くということは、描く対象をよく観察するということです。よーく観察しているといろいろなものが見えてきます。ものの前後関係、奥行きや形の構造や光の反射や微妙な影なども見えてきます。しかし、それらを総合的に整理して絵を仕上げていくというのはお気楽スケッチの趣旨から外れてしまいます。見えているが、それらを一旦平らな柄として受け入れるというのがお気楽スケッチです。

もともとスケッチは短時間で描くものですから観察ばかりしているわけにもいきません。理想は「よ〜く見て、全部描かない」ですが、「見ながら描いて時間切れ」でもいいと思っています。

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興味の中心をどーんと描いてから、それに接する形を継ぎ足していく(領土拡張画法)

対象を平らなモノと仮定して描くと言っても、実際に見てみると輪郭線が複雑で、「どうしていいかわからない」気持ちになるかもしれません。どこから手をつければいいのか。
ヒントのひとつとして、まず、自分がここを描きたいと思った部分を先に描き、あとはオマケのように継ぎ足していく方法があります。スケッチをしている間、しばらく構図という言葉は辞書から削除してください。先に「絵になる構図」を考えたりするのは疲れます。まず描いてみましょう。

Toto2 (左)まず便座を描き、

(中)それに接するフタを描き、

(右)それらに接する要素を描く

タンクの上の部分が入りきりませんでしたが、そのへんは気にせず次に進みます。タンクの上を描きたいのであればタンクの上から描き始めればよいわけです。タンクの上も描きたいし、便座も全部入れたい、ということになると画面上の配置をあらかじめ考えて描き始める必要が出てきますので難易度UP(笑)です。まずは描きたいもの1点をとにかく入れる、ということで始めるのが気楽です。慣れるまではとにかく1点に注目して描いてみましょう。

周囲の要素を描くときに気にしておいてほしい点がひとつだけあります。それは、線をと線が接するように描き足して、画面の端にも線を届かせるということです。画面がいくつかの線で分割されている状態をつくってください。これは後で色をつけるときの気楽さ加減に影響してきます。

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貴方の線が分割した面を塗りつぶす(塗り絵画法)

画面上に貴方の線が描かれて、スケッチはほぼ完成といってもいい状態になっていると思います。では色を塗ってみましょう。
 水彩絵の具でさらさらっと格好良く塗りたいところですが、準備・後かたづけが簡単な画材でやってみることにします。子供用のクレヨンでやってみます。

貴方の絵は、「領土拡張画法」でお願いしたように、紙面がいくつかの線で分割された状態になっていると思います。線が途中で終わっていると、どのようにそこを塗り分けるのか迷います。迷わなくていいように、とにかく線は何かにぶつかるまで引きつづけ、ぶつかるものがなければ紙からはみ出るまで引いておきます。すると、塗る区画がはっきりと決まるのです(笑)。ようするにこれは塗り絵です。好きな区画を好きな色で塗っていけばよいのです。

Toto4_1 (左)便座カバーを塗り

(中)マットを塗り

(右)床を塗る

線で囲まれた部分を好きな色のクレヨンで塗りつぶしていきます。迷うところはありません。

すべての区画を塗ってもいいし、全部ぬらなくてもいいです。

まず一本の線をひく」で描いたらくがき、じゃなかったスケッチにも色を塗ってみましょう。クレヨンが何色かあったら、色を重ねて塗ってみるのもいいと思います。

Man_1

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貴方にとっての面白い形をみつける

見えたままの平らな(平らと想定した)形を紙に描き写せれば、スケッチはできます。でもそれが難しいから描けないのだ、ということになります。見えているのはただの形でしかないと思いこみましょう。立体を構成する一部であるということは忘れましょう。
「練習」というのは無しにしたかったのですが、ヒントとして、次のようなことをしてみてはいかがでしょうか。

Rensyu_1
古新聞とサインペンを用意してください。新聞記事でも広告でも、スーパーのチラシでも構いませんが写真を探します。そして、その写真の中で気になる部分(気にならない部分でもいいですが)をサインペンでなぞってみてください。写真に写っているものの意味を離れた、ただの線ができると思います。
Fig1_1 (上)家具の広告。テーブルと椅子のセットです。このテーブルの形に注目してみましょう。

(中)テーブルの形をなぞります。つぶれた四角形です。四隅が直角のテーブルがこのように見えている、とは考えず、あー、つぶれた四角形だー、と、ぼーっと見てみる。なぜこのような形に見えるのか、考えないようにします(笑)。

(下)その、つぶれた四角形の部分だけを別の紙に描き写してみましょう。もはやテーブルの一部には見えず、単なる潰れた四角形です。見えているのはこの形だけなのです。

写真からではなく、現実のモノや風景からも、同様に形を抜き出すことができます。それを紙の上に描いていけばよいのです。

Qa_5

:どうでもいいですが上の図、サインペンでなぞっていませんね。

:すみません、時間の都合で画像ソフトを使いました。

:上の練習、かなり難しいと思いますが。

:そうかもしれませんが、やってみないとわからないと思います。簡単かもしれないし。

Hata 新聞に掲載されていた、ブッシュ大統領と握手する某首相の写真から、背景に写っている日の丸の旗の一部分。

これは写真をなぞるところを省略していきなり紙に描いてみました。円形の一部分には見えませんが、日の丸を知らない人には写真を見ても円形の一部には見えないから同じ事ではないでしょうか。

コピー用紙にサインペン、サクラクーピーペンシル

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見慣れているモノの見慣れない形

Memo_1 まずは「らくがき」を見ていただきましょう。

左はメモ用紙にボールペンと色鉛筆、右は同じ用紙にサインペンで描きました。

らくがきです。勤務先の机の上に並んだ本を昼休みに描いたモノです。

毎日長い時間見ているはずのものですが、じっくりとその形を見ると、なんとも見慣れない形が現れてきました。いろいろな大きさの本が無造作に並べられているので、どこも揃っていないわけです。その、揃っていないところをペンで描くのです。本は四角いものですが、ソフトカバーの本を並べると曲線が現れてきますし、本文とカバーの段差などもあって、複雑な形が見つかります。
 身の回りのモノをよく見て、自分が知っているはずのその形を紙の上になぞってみてください。単なる落書きではありますが、楽しめます。これを練習と呼びたいなら練習でも構いません。まず描いてみましょう(笑)。


Qa_7

:左の絵はまだなんとか本だというのがわかりますが、右のは何ですか。グラフか何か?

:右は、本が並んでいるところの稜線といいますか、「本と本じゃないところの境界線」だけを描いたものです。本じゃないところにも同じように形があるということが理解しやすいのではないかと思いまして。

:それ以前に「本と本じゃない」の違いがこの絵ではわかりません。

:ごもっとも。

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「月面画法」で花を描いてみる

夜空の月を描くときのように、対象の構造を無視して平らなモノとして描いてみようというのが「月面画法」です。紹介したときの作例が便器だったので「月面画法」は便器しか描けないのではないかという心配をされる方もいらしたかもしれません。いないと思いますけど。
http://sketch-style.cocolog-nifty.com/blog/2007/04/post_6271.html

そこで今回は花を平らに描いてみます。
Hana1 花びらの構造を無視して、シルエットだけを観察して線で表現したのがこのスケッチです。思い切って花びらを全部ひとつのカタマリにしています。観察しながらゆっくりと線を描いてみましょう。
こんなのは花ではない!というご意見もあろうかと思いますが、スケッチになった段階でこれは花ではなくて絵になっているわけですから、「花ではない!」は正解であります。

Hana2 クレオラクレヨンで着色してみました。色をつける領域の形が面白いと楽しく塗ることができます。便器のような工業製品よりも花のような自然のもののほうが、様々な線を発見できて面白く描けるのではないかと思います。もっとよく観察すればもっと違った色を見つけられるかもしれません。

クロッキー用紙にサインペン、クレオラクレヨン

Hana3 輪郭で捉える形を小さくしてみます。花びらもただの形でしかありません。それをそのまま紙に転写するつもりで描いてみましょう。

これで花らしくなったでしょうか。
この絵も「月面画法」で描いています。

画用紙にボールペン、サクラクーピーペンシル

Qa_2

:どうしちゃったんですか?花なんて描いたりして

:いけませんか?絵のモチーフとしてはむしろ平凡ではないかと思っていたのですが。

:いけないとは言っていません。

:身近なものは何でも描いてみましょう。

 

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