« 2007年4月 | トップページ | 2020年8月 »

移動中に描く(2)

ハバロフスクのトロリーバス車内でのスケッチが楽しかったので、翌年のヨーロッパ旅行にもスケッチブックとクレオラクレヨンを持って行きました。

同じように人の姿(主に顔)と、そのへんに書いてある文字という組み合わせのスケッチです。このときの旅行は、モスクワからリスボンまで列車を乗り継いで移動するというものだったので、車内や駅でスケッチを描く時間がありました。

ある土地で見かけた人がその地元の方だとは限りませんが、とにかくそこにいる人を描き、見えた文字を描いていました。画面が暑苦しい感じもします。

1999_01
左:成田からモスクワまでの飛行機内。
右:モスクワからドイツのケルンまでの寝台列車。車掌と時刻表。

1999_02
左:列車はロシアからベラルーシ、ポーランドを走りドイツへ。
右:ケルンの百貨店内で見かけた人。

1999_03_1
ケルンからはTGVでベルギーを通過してフランスへ。

1999_04_1
パリの地下鉄車内でも描く。

1999_05
左:パリからまたTGVでスペインとの国境まで。
右:リスボンまでの寝台列車。ヒゲの車掌。

文字は新聞の見出しや広告、列車内の案内や注意書き、その他目に入るものを意味も不明なまま書き留めていきました。「危険」とか「出口」とか、おそらくそんな感じなのでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

移動中に描く(3)

ロカ岬へ向かうバスでバックミラーにうつる運転手さんを描き、リスボンの路面電車の中で描き、レストランで描き、駅でヒルネする犬を描き、フランスの電気機関車を描き、最後は国際線のエコノミークラスで寝る人たちを描きました。
これらの絵は0号の小さなスケッチブック(画用紙)にサインペンで描いています。スケッチブックは鞄に入れず常に手に持って、スキあらば描くという怪しい観光客であったと思います。
19992_01

19992_02
19992_03
19992_04
19992_06

簡単な道具で簡単に描く旅のスケッチも悪くないのではないかと、それぞれの完成度は度外視して紹介してみました。旅のらくがき集といったところでしょうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

立ち止まって描く

Doors1_1ヨーロッパ旅行には0号のスケッチブックのほかに同じメーカーの3号Fのものも持っていきました。ホルベインのしっかりした作りのスケッチブックです。これは町歩きの時になにか描こうかなということで持ち歩きました。

何かの待ち時間ではなく、ここで立ち止まり、スケッチブックを開き、サインペンとクレヨンで描きました。20分くらいだったと思います。リスボンの街ではよく見かける壁と扉ですが、強い日差しで面白い影ができていたので影の形をサインペンで描き、クレヨンで塗り分けるとこれが楽しい。その楽しかった感覚をこの絵を見ると思い出します。


これがリスボンのどのあたりで、ここが何なのか、説明できません。1999年の7月に、リスボンのどこかにこういう壁と扉があった、ということだけです。

スケッチブックにサインペン、クレオラクレヨン

| | コメント (0) | トラックバック (0)

3.全部描かなくてもよい

スケッチをするときに、見えているものすべてを描こうと思わないようにすると、気持ちが楽になります。紙の上すべてを見えているもので埋めるという発想はとりあえずは捨ててよいと思います。
 全部描かなかったからといって、誰かが怒るわけではありません。貴方が納得していればそれでよいのです。絵に省略はつきものですが、ここでは一歩進めて「無視する」という態度で臨んでみましょう。描いて楽しいものだけを描き、あとは無視する。気分爽快。
 たとえば風景をスケッチするときに、何を描き、何を描かないかの主導権は当然貴方の側にあり、風景の側にはありません。貴方が決めて良いのです。誰かの承認はいりません。紙のどの部分を使って描くのかも貴方が決めて良いのです。

Qa_9

:何でもアナタが決めて良いって言ってもねアナタ、それが決められないから苦労するわけですよ。

:どのように決めれば良いのか、ガイドラインが欲しいということですか。

:講座を名乗っているわけだから何か教えてもらわないと。

:なるほど。

ゆるゆるスケッチはまず「描かなくてもよい」から始まっていますから、その次、「描く」となった場合のもっともシンプルな形は「線が一本でも可」ということになります。スケッチは一本の線を描く楽しみから始まっているのですからそれでいいのです。二本、三本と、徐々に線を増やしていけばよい。線を描くことはスケッチを仕上げるための手段ではなくて目的である、くらいの気持ちでいいのではないでしょうか。結果としてスケッチが残るというか。これ以上線を増やしてもあまり楽しくないな、というところでやめればいいのです。そこにある何かがまったく描かれていなくても。

Qa_9

:何だかまた無茶なことを言い出していませんか。一本でいい?

:目的は気持ちよく線を描くことにあるので、一本でもいいのではないかと。一本で描きなさいということではありませんし、逆に難しいですね一本だけで描くのは。

Kaidan

近所の階段
スケッチブックにサインペン

近所の階段を描いてみました。右側の石垣は面倒くさくなって途中でやめてます。「省略」になっていない。どうみても中断というか放棄というか未完というか、半端な状態です。

対して、階段を登った先はまったく無視しています。何もない。現場レポートとしては失格ですが、ここを青空として塗りつぶして描けば、ああそんな場所なんだなという絵になるわけです。

Qa_9

:自覚はあるようですが、こういう半端なものばかり描いていて、趣味として長続きするのでしょうか。描き始めたら最後までやり遂げないと。

:ですから「最後」をどこに設定するのかは描き手に任されているのです。仰る通り半端に見えてしまっては失敗かもしれませんが、画面に空白が出来ることを恐れずに続けて欲しいと思います。義務感で描いても楽しくないでしょう?

| | コメント (0)

ホテルの窓から描く

Kolnモスクワからの列車で着いたドイツのケルンで一泊しました。ホテルの窓から見えた大聖堂です。なんとなく塔のてっぺんを描いていたら止まらなくなり、30分くらいで描きました。乗り物の中や街で描くのと違い、ホテルの部屋では落ち着いて描くことができます。長い時間ではありませんが、ノンビリしたひとときだったのを覚えています。曇天の夕方でした。

ホテルの窓からなら、通行人の邪魔をしたり邪魔をされたりすることなく、周囲を気にせずマイペースで描けるので気分的に楽に取り組めるのではないでしょうか。窓から何が見えるのかは運次第なのですが。

スケッチブックにサインペン、クレオラクレヨン

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ときには酒気帯びでも描く

Roof路面電車が走る坂道に観光客向けのオープンカフェがあったのでビールを注文しました。昼間からビールを飲んで良い気持ちになりスケッチブックを開きます。サインペンの線は酒気帯びでヨレヨレですが良い気持ちなので描いている自分では気になりません。

旅行中のスケッチは集中力100%で描くわけにはいきません。気持ち良く描くためには絵のことに集中して周囲のことや時間の経過などわからなくなる状態になるくらいが理想的ですが、街でそれをやるのはいろいろな意味で危険です(わざわざ書かなくても皆さんおわかりかと思いますが)。そこが旅スケッチの難しいところです。わずか数分間、絵に集中していて足もとの荷物が消えていた、なんていうことが起こりえます。集中力70%くらいで、あとは周囲の状況に注意していないと不安です。

この旅行中のスケッチはほとんど立った姿勢で描いたのですが、これだけは椅子に座ってノンビリとクレヨンを使いました。気持ちの良い風が吹いていました。

スケッチブックにサインペン、クレオラクレヨン

| | コメント (0) | トラックバック (0)

4.全部塗らなくてもよい

「全部描かなくてもよい」の次は「全部塗らなくてもよい」です。もちろん「全然塗らなくてもよい」ですし「全部塗ってもよい」です。なんでもいいのかよ、という疑問は当然ですが、「なんでもいい」「なんでもよくない」のどちらかから選ぶなら、「なんでもいい」になるでしょう。

Kaidan22

この例では階段を描いたのでまず階段の部分を塗ってみるというのもよいでしょう。数段だけ、というのではなく階段の部分全体を塗ると、これが「階段のスケッチ」なのだということを強調できます。また、ひとつの領域(この例では階段)には同じトーンの色彩が集まりますから、見た感じも落ち着いたものになります。階段しか塗っていなくても「風景スケッチだ文句あるか」という絵にできる可能性もあります。

Kaidan21

ペンで描く段階で「無視」した部分(意識としては描いていない部分)も、画面の中では他の部分と同様に「形」を持っています。そこだけに色を塗ってみるのも面白いと思います。もちろんどんな色で塗っても構いません。クレヨンだったらいくつかの色を重ねてみるのもよいでしょう。

Kaidan23

複数の領域を塗って、画面のタテ・ヨコに色面が繋がると、落ち着いて来ます。「このくらいでいいんじゃないか」というところでやめてよいのです。全部塗ってみたくなればそのまま進めばよいわけで。

Qa_9

:「このくらいでいい」を判定する基準はありますか?

:ISO規格で決まっているわけでもないので、適当にご自分の感覚で決めるしかありません。ただご存じの通り、色は隣に並んでいる色の影響でキレイに見えたり逆になったりしますね。塗る部分が増えるほど、この「隣の色」の関係が複雑になってきます。つまり難しくなる。

:そうですね。それで皆さん苦労する。

:ですね。だからそこを避ける。白い部分を作ることで描く人にも見る人にも逃げ場を作ってあげるわけです。

:なんとも消極的な。

:もちろん攻めていっても構いません。塗っていて楽しいならそのまま進めばよいのです。失敗しても誰も「始末書を提出せよ」なんて言いませんから。貴方のスケッチはもともと「描かなくてもいい」ものです。そして「情報を伝えなくてもいい」のです。塗りたい部分(形)を塗りたい色で塗ればよい。ただ、画面のアチコチがばらばらに塗られているよりは、ある領域が同じようなトーンの色で塗られていると画面が落ち着いてきますよ、というそれだけです。




| | コメント (0) | トラックバック (0)

寒くても描いてみる(そして失敗)

Dpc_1これは冬のハバロフスクで描いた(描きかけ)絵です。大通りに面した公園にあった建物というか小屋です。交通警察の詰め所のようなところ。形が面白かったので描いてみました。気温はマイナス30℃近くまで下がっていたかもしれません。しかし直液式サインペンはなんとか持ちこたえておりました。

描いているワタクシの前に制服(といってもコート)に小銃を構えた若者が現れました。警官だと思われます。スパイ行為か何かの罪で逮捕されてしまうのでしょうか。絵に集中しすぎて彼が接近してくること気づいていませんでした。街でのスケッチでは周囲の状況を見失いがちなので要注意です。

Dpc2警官が それを見せろと言うのでスケッチブックを見せると、彼は自分を描いてくれというではありませんか。勤務中じゃないのか、と突っ込みたくなる場面ですが、相手は銃を持っています。こういう状況には慣れておりませんし、ここは描くしかありません。別のページに彼を描くことにしました。

しかしまたここで問題が。サインペンは手に持っているのでインク自体はある程度温まっているのですが、ペン先が冷えて描けなくなってきたのです。どんどんかすれてくる。パイロットの直液式サインペンはおそらくマイナス20℃以下での使用など想定して作られていないでしょう。もう描けません。漫画のようになった顔の周辺だけクレオラクレヨンで着色し(これも温度が低いためになかなか紙に色がのりません)、彼に見せました。長く感じましたが描いていた時間はおそらく5分か6分くらいでしょうか。

出来上がったスケッチを見せると、彼はそれでも満足そうに笑ってくれて、持ち場に帰っていきました。もっとしっかり描けていたら進呈したかったのですが、こうして手元に残ってしまいました。

サインペンとクレヨンでこれなのですから水彩スケッチなどはかなり難しいというか、ムリかもしれません。保温ポットのお湯で絵の具を溶けたとして、筆を紙の上に持っていくまでにおそらく凍ります。紙も温めておく必要があるでしょう。これとは別の冬に同じハバロフスクで試みたのは、水溶性のクレヨンで着色して、その上を氷でゴシゴシ擦って溶かすという作戦でしたが、思ったような水彩っぽい効果は得られませんでした。超低温水彩スケッチに挑戦中の方がいらしたら、ぜひお話を伺ってみたいと思っています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「月面画法」で花を描いてみる

夜空の月を描くときのように、対象の構造を無視して平らなモノとして描いてみようというのが「月面画法」です。紹介したときの作例が便器だったので「月面画法」は便器しか描けないのではないかという心配をされる方もいらしたかもしれません。いないと思いますけど。
http://sketch-style.cocolog-nifty.com/blog/2007/04/post_6271.html

そこで今回は花を平らに描いてみます。
Hana1 花びらの構造を無視して、シルエットだけを観察して線で表現したのがこのスケッチです。思い切って花びらを全部ひとつのカタマリにしています。観察しながらゆっくりと線を描いてみましょう。
こんなのは花ではない!というご意見もあろうかと思いますが、スケッチになった段階でこれは花ではなくて絵になっているわけですから、「花ではない!」は正解であります。

Hana2 クレオラクレヨンで着色してみました。色をつける領域の形が面白いと楽しく塗ることができます。便器のような工業製品よりも花のような自然のもののほうが、様々な線を発見できて面白く描けるのではないかと思います。もっとよく観察すればもっと違った色を見つけられるかもしれません。

クロッキー用紙にサインペン、クレオラクレヨン

Hana3 輪郭で捉える形を小さくしてみます。花びらもただの形でしかありません。それをそのまま紙に転写するつもりで描いてみましょう。

これで花らしくなったでしょうか。
この絵も「月面画法」で描いています。

画用紙にボールペン、サクラクーピーペンシル

Qa_2

:どうしちゃったんですか?花なんて描いたりして

:いけませんか?絵のモチーフとしてはむしろ平凡ではないかと思っていたのですが。

:いけないとは言っていません。

:身近なものは何でも描いてみましょう。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2007年4月 | トップページ | 2020年8月 »