成り行きにまかせる
タノシイスケッチの方法としてまず挙げておきたいのは、
「紙の上で起こっていることを尊重する」ということです。
貴方が描いたもの、それが貴方の絵なのであって、お手本通りではないとか、目の前の風景やモノと似ていないとか、色が違うとか、そのような否定的な目で自分が描きつつある絵を見ないようにしてみようということです。
誰も貴方の描いた風景や人物と本物を並べて確かめようなんて思わないし、そもそも本物と見比べてその絵の面白さ・楽しさが変わるというわけがないのです。本物そっくりとか、本物の雰囲気が伝わるというのは、悪いことではありませんが、それが貴方が絵を描く目的なのかというと、ちょっと違いませんか?本物のように描けた、という達成感はあるかもしれません。しかし、その達成感は本当に絵を描く楽しみなのだろうか、とちょっと思ったりしたものですから。
あなたが描いた線や色が面白ければそれでいいはずなのです。画面=紙の上で起こっていることがすべてです。そこには何にもとらわれず、線を描くヨロコビや、色を塗る楽しさが込められているはずだからです。
Q:理屈ではそうかもしれません。しかし実際に「こりゃだめだ」という絵が出来つつあるとき、それを受け入れるのはきついと思いますが。
A:そういう時はその絵のことは忘れて新しく描き直しましょう。
Q:それでは「失敗から学ぶ」ことができないのではないですか。
A:たしかに自分で「こりゃだめだ」(または「だめだこりゃ」)と感じている絵を修正しながら描きすすめても楽しくないと思います。しかし、自分で想定していた絵とは違っても、結果として面白いということはありますよね。
Q:毎回成り行きにまかせて描いて、結果がどうなるかわからないのでは効率が悪すぎませんか?
A:ん?あなたは趣味のスケッチに効率を求めるのですか?
Q:だってそうでしょう。失敗しない方法があれば、それを実行し品質を向上させればいいではないですか。
A:失敗しない方法はあります。「自分で描かない」
Q:なんですかそれは。
A:チームを作って、構図のうまい人、線が美しい人、色彩感覚がスバラシイ人などが分業制で効率的にスケッチを仕上げていく。あなたはその完成品を入手する。
Q:でもそれでは、私のスケッチとは言えません。
A:そうです。あなたの目的は完成度の高いスケッチを入手することではなく、スケッチを描くことなのですから。ではこういうのは?スケッチの名人に下書きをしてもらって、あなたはそれをなぞる。色も作ってもらい、塗るところを指定してもらう。あなたは筆を動かす。
Q:なんか、違います。
A:そう。だから成り行きでもいいのです。貴方が描くしかないのです。あなたが、自分で描きたいと思っているのなら。
Q:なんだか、ごまかされたような気がしています。
A:では、これではどうですか?スケッチの先生に構図から彩色まですべて教えて貰い、あなたはその通りに描く。
Q:う〜ん。なんだかわからなくなってきました。
Aでは、よくわからないように進めていきましょう。
Q:あらら....。
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