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まず一本の線をひく

多くのスケッチは「線」でできています。世界中のたくさんの人が、楽しいからという理由で線を描いている。一本の線をひかないとスケッチは始まらない、かどうかわかりませんが、世界中のたくさんの人たちが、まず一本の線を気持ちよく引くことで、スケッチを開始しているはずです。
 手近な筆記具で、線を描いてみてください。できるだけ長く、ゆっくりと。仕事や日常生活で描く線とは違う、貴方だけの線をみつけてください。スケッチの楽しさ100倍(当社比)です。

ウマくないとだめとか、ヘタがいいとか、そういうことではなく、線を描くのが楽しい、色を塗るのが楽しい、というのがまず基本にあるはずで、難しい技術的な事は後回し、または無視して、楽しいスケッチを描くことはできないのでしょうか。出来るような気がするのです。

そのへんにある紙にペンで、線を描いてみてください。楽しいスケッチ=タノシイスケッチをはじめましょう。

20070412 メモ用紙にサインペン
74mm×104mm


Qa_1

:こういうのは普通スケッチではなく「らくがき」といいませんか?

:どっちでもいいんじゃないでしょうか。この線は気持ちよく描けましたし。

:楽にスケッチが上達する方法はありますか?

毎日欠かさず朝晩納豆を食べるといいという噂もありますが、まず「上達」することばかり考えないで、楽しむことを優先してみませんか。

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成り行きにまかせる

タノシイスケッチの方法としてまず挙げておきたいのは、
紙の上で起こっていることを尊重する」ということです。
貴方が描いたもの、それが貴方の絵なのであって、お手本通りではないとか、目の前の風景やモノと似ていないとか、色が違うとか、そのような否定的な目で自分が描きつつある絵を見ないようにしてみようということです。

誰も貴方の描いた風景や人物と本物を並べて確かめようなんて思わないし、そもそも本物と見比べてその絵の面白さ・楽しさが変わるというわけがないのです。本物そっくりとか、本物の雰囲気が伝わるというのは、悪いことではありませんが、それが貴方が絵を描く目的なのかというと、ちょっと違いませんか?本物のように描けた、という達成感はあるかもしれません。しかし、その達成感は本当に絵を描く楽しみなのだろうか、とちょっと思ったりしたものですから。
 あなたが描いた線や色が面白ければそれでいいはずなのです。画面=紙の上で起こっていることがすべてです。そこには何にもとらわれず、線を描くヨロコビや、色を塗る楽しさが込められているはずだからです。

Qa_6

:理屈ではそうかもしれません。しかし実際に「こりゃだめだ」という絵が出来つつあるとき、それを受け入れるのはきついと思いますが。

:そういう時はその絵のことは忘れて新しく描き直しましょう。

:それでは「失敗から学ぶ」ことができないのではないですか。

:たしかに自分で「こりゃだめだ」(または「だめだこりゃ」)と感じている絵を修正しながら描きすすめても楽しくないと思います。しかし、自分で想定していた絵とは違っても、結果として面白いということはありますよね。

:毎回成り行きにまかせて描いて、結果がどうなるかわからないのでは効率が悪すぎませんか?

:ん?あなたは趣味のスケッチに効率を求めるのですか?

:だってそうでしょう。失敗しない方法があれば、それを実行し品質を向上させればいいではないですか。

:失敗しない方法はあります。「自分で描かない」

:なんですかそれは。

:チームを作って、構図のうまい人、線が美しい人、色彩感覚がスバラシイ人などが分業制で効率的にスケッチを仕上げていく。あなたはその完成品を入手する。

:でもそれでは、私のスケッチとは言えません。

:そうです。あなたの目的は完成度の高いスケッチを入手することではなく、スケッチを描くことなのですから。ではこういうのは?スケッチの名人に下書きをしてもらって、あなたはそれをなぞる。色も作ってもらい、塗るところを指定してもらう。あなたは筆を動かす。

:なんか、違います。

:そう。だから成り行きでもいいのです。貴方が描くしかないのです。あなたが、自分で描きたいと思っているのなら。

:なんだか、ごまかされたような気がしています。

:では、これではどうですか?スケッチの先生に構図から彩色まですべて教えて貰い、あなたはその通りに描く。

:う〜ん。なんだかわからなくなってきました。

では、よくわからないように進めていきましょう。

:あらら....。

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画材を用意する

趣味というのは「道具に凝る」方向に進みがちです。当然です。何かを始めるときにまず道具から、というのもわかります。いい道具を使った方がいいに決まっているし、道具自体を楽しむという気分もわかります。
 しかし、お気楽スケッチですから、道具は安くていつでも手に入るものから始めた方が気が楽です。専門の画材店に行かないと入手できないものではなく、コンビニエンスストアや駅の売店で売っているもので、どんどん描く方が気楽です。使い尽くしたら簡単に補充できますから。
 後述しますが、何を使うかよりもどう使うかのほうが重要です。たとえば3本百円くらいのボールペンだって、リッパなスケッチ用具になるはずです。くりかえしますが、使い方が重要です。

(ついでに言いますと、万が一スケッチに飽きても、ボールペンなら筆記道具としてリッパに使えます....)

墨と顔彩を揃えましょうとか、いやいや鉛筆と透明水彩っすよ、とかいやいやいややっぱりパステルで、とか、そういう話題はそれで楽しいのですが、ここでは「何でもいいんじゃないの」ということで。

なんでもいいと言われるとそれも困る、という方には別の記事で。

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線を描くための画材

だいたいどんな画材でも線を引くことはできます。何でもいいです、といってしまっては終わりになってしまうので、お気楽スケッチ向きの画材を。
サインペンかボールペン
がいいと思います。
理由は、単純な線が描きやすいところ、準備や片づけが楽、入手しやすい、などです。鉛筆でもいいのですが、お気楽スケッチ向きでない点があります。「消しゴムで簡単に消せる」ところです。修正可能だと修正したくなります。絵の勢いというか、成り行き任せのお気楽な対応ができなくなる可能性があるので、オススメいたしません。

Qa_8

:消しゴムを持たなければ鉛筆でも問題ないような気がします。

:おー。気がつきませんでした。なるほど。

Pen

上から

ボールペンで描いたボールペン(+クレオラクレヨン)

サインペンで描いたサインペン(+サクラクーピーペンシル)

鉛筆で描いた鉛筆(+クレオラ色鉛筆)

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描く対象の構造を無視する(月面画法)

気分を楽に描くことを最優先するために、ひとつの提案をしたいと思います。それは、スケッチをするときに「世の中はすべて平らだ。モノには奥行きも裏側もないのだ。ということにしておこう」と考えてみるというものです。
 立体物を二次元の紙の上に再現するということを一切考えずに、見えたものを平らなものの形として紙の上に描き写していくのです。

 夜空を見上げて三日月をスケッチするとしましょう。誰でも弓形の例のものを描くと思います。三日月はこれまた皆さんご存じのようにボール形の立体です。そこに地球の影ができて弓形に見えている。しかしそんな事を知らなくてもあれを描くことは可能です。明るい板が宙に浮いているのだとしても描いたものは同じようなものになるはずです。

 であれば、林檎を平らな板と信じて描いていけないわけがない。
 月を見て月の輪郭線を描くように、林檎を見てその輪郭線を描けばよいわけです。あらゆるものについて、この「世界は平らだ」を信じて描くことができれば、かなり気が楽になるはずです。貴方が描くスケッチは平らな紙の上にあるのですから、早い段階で平面にしてしまったほうがいいのです。いいのだろうと思います。たぶん。

Toto1 「月面画法」によるスケッチ例。
最初は見慣れた形(この例では便座を上から見た形)を中心にした絵にすると描きやすいと思います。「こう見えるハズ」という先入観と、実際に見えている形が近いので安心できます。
 見えているモノの形をできるだけそのまま、それがどんな機能をもったものであるかとか、実際の長さとか奥行きとか、「この角度だとこう見えるはず」などを考えないようにして、見えたままを描きすすめてください。あ、形がヘンだと気づいてもそのまま描ききってしまいましょう。

Toto3_1 下描きは無しで

下描きをしておいてペンでなぞる方法は、あらかじめ完成した状態を想定して描き始めることになります。「設計→制作」という2段階になるといってもよいでしょう。これは想定外の絵もそのまま受け入れて楽しもうというお気楽スケッチの趣旨から離れていきますので、下描きという単語は辞書から削除しておいてください。立体の中心線や角度を判断するための補助線もやめて、ペンでいきなり描いてみてください。難しいことを考えずに1本の線を引きはじめる楽しさを味わっていただきたいと思います。


Qa_2

:スケッチというと雄大な自然の風景とかおしゃれな街角とか、そういうのを想像していました。いきなり便器ですか。

:身近なモノからやってみようということで。便器でも何でも、描いてしまえば同じ一枚の絵です。昔からスケッチは便器にはじまり便器に終わるといいまして…

:嘘でしょう。

:はい…。

:モノを平面として見るコツはありますか?

:ぼーっとしてですね。何も考えないで、ぼーっと見ていると、そのモノ自体の意味とか奥行きとか、そういうのはどうでもよくなりませんか?ぼーっと見ていると平面的に見えてきたりします。

:なるほどそうだったのか。

:何がですか?

:あなたはいつもぼーっとしていることが多い。

:はい…。

 

 

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色を塗るための画材

色を塗るための画材も、手軽さを重視すると

クレヨン・色鉛筆

がよいかと思います。パレットや水不要。乾くのを待つ必要なし。画面上である程度色を作れるなどの理由の他、「一度は使ったことがある」という気楽さが重要ではないかと思います。

広い面積を楽に塗れる・削らなくてもよい、などの理由で色鉛筆よりもクレヨンのほうがいいかもしれません。

Qa_9

:確かにクレヨンは削らなくても使えますが、あの巻いてある紙を破っていかないといけませんね。

:たしかにそうですが、少なくとも鉛筆削り器やナイフを持ち歩かなくてもいいですから。鉛筆は削りたくない、クレヨンの紙も嫌、という方にはサクラの「クーピーペンシル」という、「全部が芯の色鉛筆」というのがあります。これも使いやすいです。

 

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よ〜く見て、全部描かない

スケッチを描くということは、描く対象をよく観察するということです。よーく観察しているといろいろなものが見えてきます。ものの前後関係、奥行きや形の構造や光の反射や微妙な影なども見えてきます。しかし、それらを総合的に整理して絵を仕上げていくというのはお気楽スケッチの趣旨から外れてしまいます。見えているが、それらを一旦平らな柄として受け入れるというのがお気楽スケッチです。

もともとスケッチは短時間で描くものですから観察ばかりしているわけにもいきません。理想は「よ〜く見て、全部描かない」ですが、「見ながら描いて時間切れ」でもいいと思っています。

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興味の中心をどーんと描いてから、それに接する形を継ぎ足していく(領土拡張画法)

対象を平らなモノと仮定して描くと言っても、実際に見てみると輪郭線が複雑で、「どうしていいかわからない」気持ちになるかもしれません。どこから手をつければいいのか。
ヒントのひとつとして、まず、自分がここを描きたいと思った部分を先に描き、あとはオマケのように継ぎ足していく方法があります。スケッチをしている間、しばらく構図という言葉は辞書から削除してください。先に「絵になる構図」を考えたりするのは疲れます。まず描いてみましょう。

Toto2 (左)まず便座を描き、

(中)それに接するフタを描き、

(右)それらに接する要素を描く

タンクの上の部分が入りきりませんでしたが、そのへんは気にせず次に進みます。タンクの上を描きたいのであればタンクの上から描き始めればよいわけです。タンクの上も描きたいし、便座も全部入れたい、ということになると画面上の配置をあらかじめ考えて描き始める必要が出てきますので難易度UP(笑)です。まずは描きたいもの1点をとにかく入れる、ということで始めるのが気楽です。慣れるまではとにかく1点に注目して描いてみましょう。

周囲の要素を描くときに気にしておいてほしい点がひとつだけあります。それは、線をと線が接するように描き足して、画面の端にも線を届かせるということです。画面がいくつかの線で分割されている状態をつくってください。これは後で色をつけるときの気楽さ加減に影響してきます。

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スケッチは楽しく

難しいことを考えずに、「お気楽な」方法でスケッチを楽しみましょう。難しいことを考えたり、何かを勉強したりするのは描くのが楽しくなってから、ということで、タノシイスケッチを始めましょう。貴方がやることは紙に線をひき、色を塗る。これだけです。

気楽に描くためのヒント
気楽に描くためのヒント スケッチを楽しむためのヒント集。下描き・構図・透視図法などを一切無視して描いてみよう(無謀?)このヒント集のように描かなければいけないというものではないし、このように描けば必ずうまくいくものでもありませんが、こういう考え方が合う方はこの方法で始めてみるのもいいかもしれません。物足りなくなったらキチンと勉強すればよいということで。

画材・道具
画材・道具 トリアエズ、どこでも買えてどんどん使える画材で始めよう!始めればなんとかなる!ような気がします。こちらも、物足りなくなったら画材店に行って、あれこれ迷ってみるのもまた楽しみのうちですね。

ゆるゆるスケッチ講座(仮)
ゆるゆるスケッチ講座(仮) 「…なくてよい」から始まるスケッチ講座(?)

旅を描く
旅を描く スケッチブックとクレヨンを持って旅に出よう!旅に出たい。最近旅行をしていない....

(以下準備中)

街を描く 

人を描く

日常を描く

 絵を描いて楽しみたいけど、どうしたらいいのかわからない。技法書を買ってみたり、スクールに通ってみたりしたけど、何か違う。そんな方々に読んで頂きたいと思っています。逆に、目標がしっかりあって、それを目指して勉強してみたい、という方々には物足りない内容かもしれません。目標があれば、それぞれに相応しいスクールや書籍、WEBサイトなどがあるはずです。
 このサイトで紹介してくのは「難しいことは抜きにして、スケッチをすることを楽しみたい。自分で予想もしていないような絵が描ければそれもまたヨシ」というような、非常にイイカゲンな、お気楽なスケッチの方法です。本当にそんなことが可能なのか実はわからないのですが、まぁ、なんとかなるでしょう。
 
 まず、描くことそのものを楽しむ。出来上がったものが面白ければ楽しさ倍増、といった感じでしょうか。

 場当たり的な説明と杜撰な図版を使います。わかりにくいところは飛ばしていただき、楽しそうだなーと感じたら、スケッチを始めてみてください。

図版や各記事は随時修正・更新していきます。

※しばらく放置状態でしたが内容の整理・追加などやっていこうと思います。といっても徐々に、ですが。気長におねがいします。

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貴方の線が分割した面を塗りつぶす(塗り絵画法)

画面上に貴方の線が描かれて、スケッチはほぼ完成といってもいい状態になっていると思います。では色を塗ってみましょう。
 水彩絵の具でさらさらっと格好良く塗りたいところですが、準備・後かたづけが簡単な画材でやってみることにします。子供用のクレヨンでやってみます。

貴方の絵は、「領土拡張画法」でお願いしたように、紙面がいくつかの線で分割された状態になっていると思います。線が途中で終わっていると、どのようにそこを塗り分けるのか迷います。迷わなくていいように、とにかく線は何かにぶつかるまで引きつづけ、ぶつかるものがなければ紙からはみ出るまで引いておきます。すると、塗る区画がはっきりと決まるのです(笑)。ようするにこれは塗り絵です。好きな区画を好きな色で塗っていけばよいのです。

Toto4_1 (左)便座カバーを塗り

(中)マットを塗り

(右)床を塗る

線で囲まれた部分を好きな色のクレヨンで塗りつぶしていきます。迷うところはありません。

すべての区画を塗ってもいいし、全部ぬらなくてもいいです。

まず一本の線をひく」で描いたらくがき、じゃなかったスケッチにも色を塗ってみましょう。クレヨンが何色かあったら、色を重ねて塗ってみるのもいいと思います。

Man_1

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貴方にとっての面白い形をみつける

見えたままの平らな(平らと想定した)形を紙に描き写せれば、スケッチはできます。でもそれが難しいから描けないのだ、ということになります。見えているのはただの形でしかないと思いこみましょう。立体を構成する一部であるということは忘れましょう。
「練習」というのは無しにしたかったのですが、ヒントとして、次のようなことをしてみてはいかがでしょうか。

Rensyu_1
古新聞とサインペンを用意してください。新聞記事でも広告でも、スーパーのチラシでも構いませんが写真を探します。そして、その写真の中で気になる部分(気にならない部分でもいいですが)をサインペンでなぞってみてください。写真に写っているものの意味を離れた、ただの線ができると思います。
Fig1_1 (上)家具の広告。テーブルと椅子のセットです。このテーブルの形に注目してみましょう。

(中)テーブルの形をなぞります。つぶれた四角形です。四隅が直角のテーブルがこのように見えている、とは考えず、あー、つぶれた四角形だー、と、ぼーっと見てみる。なぜこのような形に見えるのか、考えないようにします(笑)。

(下)その、つぶれた四角形の部分だけを別の紙に描き写してみましょう。もはやテーブルの一部には見えず、単なる潰れた四角形です。見えているのはこの形だけなのです。

写真からではなく、現実のモノや風景からも、同様に形を抜き出すことができます。それを紙の上に描いていけばよいのです。

Qa_5

:どうでもいいですが上の図、サインペンでなぞっていませんね。

:すみません、時間の都合で画像ソフトを使いました。

:上の練習、かなり難しいと思いますが。

:そうかもしれませんが、やってみないとわからないと思います。簡単かもしれないし。

Hata 新聞に掲載されていた、ブッシュ大統領と握手する某首相の写真から、背景に写っている日の丸の旗の一部分。

これは写真をなぞるところを省略していきなり紙に描いてみました。円形の一部分には見えませんが、日の丸を知らない人には写真を見ても円形の一部には見えないから同じ事ではないでしょうか。

コピー用紙にサインペン、サクラクーピーペンシル

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見慣れているモノの見慣れない形

Memo_1 まずは「らくがき」を見ていただきましょう。

左はメモ用紙にボールペンと色鉛筆、右は同じ用紙にサインペンで描きました。

らくがきです。勤務先の机の上に並んだ本を昼休みに描いたモノです。

毎日長い時間見ているはずのものですが、じっくりとその形を見ると、なんとも見慣れない形が現れてきました。いろいろな大きさの本が無造作に並べられているので、どこも揃っていないわけです。その、揃っていないところをペンで描くのです。本は四角いものですが、ソフトカバーの本を並べると曲線が現れてきますし、本文とカバーの段差などもあって、複雑な形が見つかります。
 身の回りのモノをよく見て、自分が知っているはずのその形を紙の上になぞってみてください。単なる落書きではありますが、楽しめます。これを練習と呼びたいなら練習でも構いません。まず描いてみましょう(笑)。


Qa_7

:左の絵はまだなんとか本だというのがわかりますが、右のは何ですか。グラフか何か?

:右は、本が並んでいるところの稜線といいますか、「本と本じゃないところの境界線」だけを描いたものです。本じゃないところにも同じように形があるということが理解しやすいのではないかと思いまして。

:それ以前に「本と本じゃない」の違いがこの絵ではわかりません。

:ごもっとも。

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スケッチを描く紙

クレヨンで色をつけることを考えると画用紙ということになりますが、ペンだけで描くなら何でも使えるものはつかってみましょう。スケッチブック、クロッキーブックなどは画材店で入手できます。コピー用紙、メモ用紙などは文具店やスーパーでも売っています。白紙のノートでもいいですし、描けそうなものは何でも使ってみてください。レシートの裏に描いたこともあります。何も描けないよりマシですから。

旅行に持っていってスケッチを、というような時は表紙がしっかりとしたスケッチブックのほうが使いやすいと思います。

N200704211クロッキー(休憩中のモデルさん)

使用した画材は

オリオン クロッキーブック CR-A6
(約10.5×15cm)

パイロットサインペン直液式 P-S-VSP-B
(これは現在入手できないようです)

クレオラ クレヨン
(アメリカ製の子供向けクレヨン)

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ボールペンを「事務」から解放する

ペンや鉛筆を持った貴方の手は、これまであまりにも多くの制約の中で活動していたのではないでしょうか。
 マークシートははみ出さないように塗りなさいとか、枠内に右詰でご記入くださいとか、姓と名の間は1マス空けてくださいとか、そういうことですね。貴方の手とペンは、そのような動きに慣れてしまっているのかもしれません。
 スケッチにはそのような制約はありません。仮に勢いよく描きすぎて紙から線がはみ出てしまっても、おそらく怪我人が出たりすることはない。紙には天地左右の縁があり、そこで紙は終わりなのですが、貴方のペンはそこを突き抜けてさらに進んでいくことができます。貴方のペンは「文具・事務用品」ではなく画材に変身するのです。ペン自身がそれを望んでいるのかどうかはわかりませんが。

 ペンや鉛筆が事務用品という立場から解放されるとき、貴方自身も事務や仕事や勉強のことを忘れて解放されるのではないでしょうか。言葉や数字ではなく絵を描くというのはそういうことでもある。のではないかなと。

Qa_9

:何だか意味不明です。要するに何ですか?もう字は書きたくないと。

:そういうことですね。違うかな。

:結局わからんと。

:…。

:具体的にはどのようにすればペンは「解放」されるのですか?

:いつもと違う使い方をしてあげればいいんじゃないスか。

:また投げやりな。

:まず持ち方を変えてみる。ぐーで握ってみるとか二本の指でつまむとか。

:左右入れ替えるとか。右利きだったら左。

:そうそう。あと線を引く方向をいつもと逆にしてみる。

:なるほど。上から下ではなく下から上にひくとか。

:そういうことですね。

:「慣れないことをしてみろ」と。

:そうスね。

Line 左手でぐー握り、左から右方向に線を引く

紙:(株)エヌ・プランニング B6 200シート無地 120-1036WH

ペン:三菱uniballSigNo UM-151黒

Line2サインペンをペンチで挟み、右手で左から右に線をひく

紙:(株)エヌ・プランニング B6 200シート無地 120-1036WH

ペン:パイロットサインペン直液式P-S-VSP-B

:ペンチで挟んだ?

:なんか、こう、ロボットになった気分で。

:意味あるんですか?

:わかりませんけどね。すくなくとも事務ではやりませんねこういうことは。

:いつもペンチで描いている?

:そうではなくて、自分の手で見慣れない線を引くための遊びです。


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「…なくてよい」式スケッチ手法の研究

ワタクシや貴方の日常というのは、「ある期限までに何かをする」ということの繰り返しです。
「ある期限までに何かをしなければならない」
それは仕事であったりお金の返済であったり学校の宿題であったり、まぁ、いろいろあります。

この「ねばならない」を趣味のスケッチにもあてはめていいものか、と思ったわけです。好きでやっている趣味の中にも「ねばならない」が過剰に入り込んでいないだろうかと。
「ねばならない」が増えると、お気楽さが減っていきます。
Nebanaranu_1

スケッチを描いていく上で、「こうしたほうがうまくいく」、「こうしたほうがよい」というポイントは多いと思われます。スケッチ講座は「こうしたらうまくいく」を伝えるのが普通です。それを逆に「しなくてもよい」とした場合、スケッチはどうなってしまうのか、それを楽しみながらやってみようと思ったり、思わなかったり。

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1.スケッチは描かなくてもよい

いきなり終わってしまいそうなタイトルです。
スケッチは描かなくてもよい」はい、さようならと。
しかしこれは意外に大事なことかもしれません。締め切りまでに描き上げなければならないプロの方はこれには当てはまりません。当たり前ですが。
プロでないということはなんと素晴らしいことでしょうか。

描かなくても誰も困る人がいない
のです。こんな気楽なことはない。描きたいときに描きたいだけ描けばいいわけですから。そこには必達の目標や、定められた手順や、締め切りや納期や品質向上プランの策定や進捗報告や各種届け出は不要です。もちろん資格もいりません。
 描きたいときに描く。白紙に一本の線を引き、それが二本になり三本になり、絵になっていくのをただ楽しめばよいのです。楽しくなくなったらやめればいい。ヒジョーにシンプルです。スケッチは描かなくてもよい。でも描いてもよいのです。

Kami

スケッチは「描かなくてもよい」

でも描いても楽しい。

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2.情報を伝えなくてもよい

暴論ですが、スケッチに何が描いてあるのか、わからなくてもいいという思いもあります。それが何であるのか、何処であるのか、わからなくてもいい。わかった方がいいですが、わからないからといってダメだとは言えない。画面上の線が楽しく描かれていて、面白ければ充分なのではないかと。

ワタクシや貴方は写生をしているのですから、それが何であるかわかるほうがいいに決まっていますが、それが何であるかわかるからいい絵である、というわけでもありません。それが何であるかわかり、かつ面白い絵がいいに決まっています。しかしそれは簡単に描けないかもしれない。何が描いてあるかわかるけど面白くない絵よりも何だかわからないけど面白い絵のほうが楽しいではないですか。学術的なイラストレーションを描こうというわけではないのですから。

昔、アルバイトでデザイン事務所のアシスタントをしていたことがありました。その事務所ではビジュアルを重視した科学雑誌の編集デザインをしていて、アシスタントであるワタクシの仕事は、イラストレーターに発注するイラストレーションの「下絵」を作るというものでした。イラストレーションは情報です。監修の学者の先生、編集者、アートディレクターが、その絵に盛り込まなければならない情報を整理して構図を決めます。ワタクシは編集者が集めた資料をもとに、その絵の細部を描いていきます。消しゴムで何度も修正しながら、詳細なイラストの設計図を作っていくのです。色もこの段階で決めて、アートディレクターや編集者のチェックを受け、イラストレーターの先生に渡されるのです。イラストレーターに求められているのは描写の技術で、下絵(設計図)通りに締め切りまでに描きます。プロの仕事です。

ワタクシや貴方がやろうとしているのは、そういうことではありません。完成品のクオリティではなく描く過程を気持ちよく進めようというものです。情報が伝わるかどうかは無視してよい、そもそも伝えるべき情報がないかもしれません。伝わってほしいことがあるとするなら、それは「楽しい」という事かもしれません。情報ではなくて情緒的な事なのかもしれません。

Qa_9

:スケッチを見せられたヒトの代表的な反応として、「これ何が描いてあるの?」というのがあると思います。

:何が描いてあるのか知りたいヒトには言葉で説明してあげればいいのではないでしょうか。「バナナです」とか。

:バナナを描いてバナナに見えない絵というのは写生としてどうかと思いますが。

:ですからバナナの説明をするためにスケッチをするのではないという立場もありうるということです。

:開き直りとも受け取れる発言です。

:まぁそういうことです。

Bana

クロッキー用紙にサインペン、サクラクーピーペンシル

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移動中に描く

一人旅、または同じ趣味仲間の「スケッチ旅行」でもない限り、旅先でゆっくり絵を描く時間はなかなか確保できません。何かの待ち時間や移動中に、周囲のモノや人々を描いてみてはいかがでしょうか。

Trolleybus_1 trolley bus
スケッチブックにサインペン・クレオラクレヨン

1998年頃ロシア極東ハバロフスク市のトロリーバスで

この頃は「人物+そのへんに描いてある文字」を描くというのが好きでよくやっていました。旅行中も同じ方法で描いています。1枚のスケッチに時間差でいろいろな視点・場所の絵が入っています。1枚全部をその場で仕上げようと考えないという作戦も、ときには有効ではないでしょうか。

スケッチブックを常に手に持ち、サインペンとクレオラクレヨンの紙箱(このときは48色セット)をコートのポケットに入れて歩きました。上の絵は、空港と市内を結ぶトロリーバスの車内でクレヨンを出してぐりぐり塗りました。

電車やバスを待つ間や、乗り物の車内で短時間で描くのも「旅のスケッチ」のひとつのあり方ではないかと。

Trolleybus2

Khabarovsk2

Khabarovsk1

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